漢方医学と西洋医学|漢方について
わたしたちが、病気になると病院に行きます。そこで、検査を受けたり、薬を処方されたり、場合によっては手術ということもあるかもしれません。このような治療は、西洋医学といって、明治以降に急速に発展した医学です。
江戸時代までは、漢方医が漢方薬を処方してさまざまな病気を治していました。漢方医学は西洋医学が入ってきてからは、衰退していきました。
検査イメージ西洋医学は、検査の結果で病気を診断し治療します。また、癌などの手術が必要な治療にはすばらしい効果をあげています。抗生物質によって、結核などの感染症も治るようになりました。
しかし、検査などに異常がみられないのに身体の不調を訴えるケースや、アレルギー疾患、不眠症やうつ病などの心因性のものには根本的な治療ができません。 漢方医学は、患者さんの症状や訴えを聞き、その方の体質などを考えて治療していきます。また、病気の原因が何によるものかを考えバランスを調え、治療していきます。
最近、漢方薬が次第に見直されるようになってきました。明治時代になって、一度は衰退した漢方医学でしたが、最近では国内でも数多くの医師が漢方薬を用いるようになっています。 漢方薬は副作用が少ないうえに、体質を改善できるといった長所があります。
西洋医学は、病気を部分的に考え治療します。それに対し、漢方医学は病気を全体的にとらえています。たとえば、西洋医学では胃が痛ければ胃薬、頭が痛ければ頭痛薬が処方されますが、漢方ではまったく違った考え方をします。
同じ胃痛を訴えていても、漢方医学ではその原因がストレスによるものなのか、冷えによるものか、逆に炎症を起こし熱によるものか、胃の機能が低下しているためなのかを考え、治療します。そのときに、患者さんの体質も考慮して漢方薬を処方します。
科学に裏づけられたものが西洋医学であるならば、数千年の歴史の積み重ねから生まれたのが漢方薬といえるでしょう。漢方薬と西洋薬、それぞれを上手に使い分ければ、よりよい治療が行えます。