お血のはなし|漢方のはなし
4.お血と病気
お血と病気
人間のからだは血液が運ぶ酸素や栄養によって生き生きと保たれています。この大切な役割を担っている血液の流れが悪くなると、酸欠や栄養不足となり、内臓や脳の働きを悪くし、いろいろな成人病を引き起こします。
思考力も落ち、モノ忘れも多くなります。皮膚はつやがなくなり、シミやアザができるようになります。さらに、筋肉がこわばり、肩こりや筋肉痛の原因ともなります。
お血がひどくなると、極端な場合、血管をふさぎ血の流れをとめて、狭心症や脳梗塞をもたらすこともあります。病気が長引くと血液が悪くなり、お血となり、ますます回復が困難になります。
血栓が形成されるプロセス
・正常な血流:赤血球・白血球・血小板が血管の中を勢いよく流れています。
・血流がゆるやかになると:白血球と血小板は中心から離れて壁の近くを流れます。
・血管内皮に傷があると:血小板がこの部分に付着し、血栓が形成されます。
中国漢方には、「未病を治す」という重要な考えかたがあります。日頃の養生によって病気を未然に防ぎ、体調を崩す一歩手前の段階でくい止めようというものです。
現代の西洋医学では、検査のデータが優先するあまり、体調の変化や自覚症状だけではなかなか病気として認めてもらえないところがあります。検査データにはあらわれない病気の前段階、つまり「未病」の人には多くの場合、お血の傾向がみられます。
中国漢方で「お血」の考え方が重視されるのは、体の不調をいち早く見つけだすための、貴重な手がかりとなるためです。
お血は高血圧や脳梗塞などの循環器疾患を中心に、さまざまな病気の引き金となります。
次のような非常に多くの病気と「お血」はかかわりをもっています。
1・神経痛、リウマチ、関節炎、筋肉痛
2・冷え症、肩こり
3・皮膚?痒症(アトピー性皮膚炎、乾性湿疹、慢性じんましん)
4・外傷性疼痛(ねんざ、打撲)
5・血管神経性頭痛、脳外傷後遺症の頭痛、半身不随
6・動脈炎、静脈炎、血栓性血管炎
7・動脈硬化症、高脂血症、高血圧症
8・月経困難症(生理痛)、不妊症
9・慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、慢性胆嚢炎、胆石症
10・腫瘍、できもの、前立腺肥大、慢性前立腺炎
11・慢性腎炎、ネフローゼ、浮腫
12・性機能障害(不妊など)
13・肝炎、肝硬変
14・健忘、不眠、イライラなどの精神障害