女性を美しくする生薬のいろいろ|漢方のはなし

4.川キュウ(せんきゅう)

川キュウ(せんきゅう)は体のバランスをとる薬です。「冷え」は美容の大敵です。

川キュウ(せんきゅう)はセリ科の植物の根茎を乾燥したものです。

川キュウ(せんきゅう)はセロリのような濃い香りを持ち、「よく巡り、上は頭に行き、下は腹に達し、外は皮、肌を徹し、さらに四肢に通じる」と中医学では言います。つまり、川キュウ(せんきゅう)は「血」を巡らせながら、「気」をよく巡らし、体の表と内側、上半身と下半身のバランスをとる薬なのです。

女性の下腹部には卵巣、子宮など生殖に必要な器官が集まっていて、血液の60%が下半身に集中しています。したがって、腹部のトラブルも多くなります。月経不順、生理痛、無月経、産後の腹痛に川キュウ(せんきゅう)はよく使われています。

渋谷、原宿などで出会う少女達は、おしゃれできれいですが、ピッタリとした服や短いパンツやスカートをはいていて体を冷やしています。体を冷やすと、血の流れが滞(とどこお)り、「オ血(おけつ)」になりやすく、卵巣やホルモン分泌の機能が低下します。そのため、ホルモンバランスをくずして、生理痛、月経不順だけでなく、三十歳前後から子宮内膜炎、卵巣ノウ腫(のうしゅ)などの症状を起こしてきます。また細胞のすみずみまでに新しい血液が流れにくくなるために、細胞が老化し、肌荒れ、シミ、さめ肌などになりがちです。

川キュウ(せんきゅう)の入った漢方薬を使って腹部の「オ血(おけつ)」を取り、血行を促進し、腹部の血液をきれいにし、卵巣、子宮の機能を活発化し、からだを温めることが非常に大事です。

キュウ帰調血飲(きゅうきちょうけついん)や婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)は、川キュウ(せんきゅう)、当帰(とうき)を中心とした、女性の腹部の代謝をよくする有名な薬です。「豊かな大地の如き女の腹」といいます。女性はお腹を特に大切にしてください。

また、川キュウ(せんきゅう)は熱感よりも寒けが強い風邪による頭痛、偏頭痛、肩こりによく効きます。川キュウ(せんきゅう)は「血」をよく巡らせ、神経や血管の痙攣をゆるめ、からだの下の方にあるものを上に上げ内側にあるものを表側に出す「昇散(しょうさん)」の性質を持ち、「風(ふう)」による害を取り除き、痛みを止めるからです。

川キュウ(せんきゅう)は心臓の「オ血(おけつ)」を取り、胸の痛みを改善する働きがあります。川キュウ(せんきゅう)は血圧を下げ、冠状動脈の血流量を増加し、冠状動脈の抵抗を下げ、血栓の形成と血小板の凝集を抑制することができます。また、すでに出来た血栓を溶かす働きがあることが動物実験で分かっています。川キュウ(せんきゅう)のこうした薬理作用は冠元顆粒(かんげんかりゅう)に生かされています。

美しくありたいと願う女性にとって、顔、肌の輝き、スタイル、いずれもが非常に大事です。スタイルがいいというのは全体のバランスがとれていることで、痩せすぎていても、勿論、肥満で太りすぎていても美しいとはいえません。川キュウ(せんきゅう)はお腹の、手足の、頭部の、すなわちからだのすみずみにまで血液とともに酸素や栄養分を充分に送り込み、老廃物を取り除き、その結果ホルモンなど内分泌の機能をととのえ、皮膚やお肌の新陳代謝を活発にしてくれますから、「部分肥満」にも効果的です。

特徴と効能
●地を良くめぐらせ、風邪による頭痛・偏頭痛・肩こりをやわらげる
●心臓のお血(おけつ)をとり旨の痛みを改善
●からだのすみずみまで血液・酸素・栄養を充分に送り込み新陳代謝を活発にする

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