女性を美しくする生薬のいろいろ|漢方のはなし

6.四物湯(しもつとう)と婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)

四物湯(しもつとう)より優れた婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)。「女性の聖薬」「女性の宝」です。

1種類の生薬(しょうやく)にもいろいろな働きがありますが、いくつかの生薬が配合された方剤になるともっと優れた効果を発揮します。四物湯(しもつとう)、婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)はそれぞれ4種類、9種類の生薬から作られた、女性にやさしい有名な漢方処方です。

四物湯(しもつとう)はその名前のとり、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、川キュウ(せんきゅう)、地黄(じおう)という4種類の生薬が同じ量で調合され、穏やかで、飲みやすく、血を養い、月経を調節して、「血の道」など、「血」に関連する病気によく使用されています。時代の流れとともに、伝統の四物湯(しもつとう)をベースにして、様々な薬が開発され、桃紅四物湯(とうこうしもつとう)、婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)、十全大補丸(じゅうぜんだいほがん)などに発展してきました。

婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)は四物湯(しもつとう)の血に栄養を与え、月経を調整する効果をいかし、女性の体質に合わせ、さらに「気」と「血」を補う作用のある生薬を加えたものです。応用が広く、飲みやすく、「女性の聖薬」といわれています。

婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)の4つの特徴

特徴1

第1の特徴は、成分の70%を占める当帰(とうき)が血を補い、巡らせ、「補血(ほけつ)」、「調血(ちょうけつ)」、 子宮の発育を促進することです。特に子宮収縮の抑制と促進という双方向に調整する働きを持っ ていて、その時の体調によって子宮をゆるめ、血流を増加させて栄養を改善し、あるいは逆に 子宮を収縮し、リズムを回復します。

特徴2

第2の特徴は、黄耆(おうぎ/マメ科の植物キバナオウギの根)を加えていることです。疲れを防ぎ、精力の回復のために当帰(とうき)と黄耆(おうぎ)の配合は非常に価値があります。黄耆(おうぎ)はパワーとエネルギーを補充し、筋肉運動を支配しています。「目は口ほどに物を言う」という諺がありますが、目は顔の表情の中で一番大切で、瞳が輝いていると、豊かで魅力的な表情を作ることができます。いきいきとした表情にも黄耆(おうぎ)は役だっています。

特徴3

第3の特徴は、「養血(ようけつ)」、「止血(しけつ)」の働きを持った阿膠(あきょう/ロバからとったにかわ・コラーゲン)を加えることによって、補血(ほけつ)の効能を増強しながら出血を止めることです。不正性器出血、子宮筋腫による多月経、腸からの出血(便血)、痔出血などを繰り返す、血虚(けっきょ)傾向の方の体質の改善薬として使用されています。

特徴4

第4の特徴は、胃腸の消化吸収をよくする党参(とうじん)、茯苓(ぶくりょう)、甘草(かんぞう)、が配合してあることです。貧血の人には鉄剤を投与しますが、鉄剤には、むかつき、胃のもたれ、食欲不振などの「副作用」も決して少なくありません。一方、補血剤(ほけつざい)の婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)の中の党参(とうじん)、黄耆(おうぎ)、茯苓(ぶくりょう)、甘草(かんぞう)は胃を丈夫にさせ、腸を整え、消化吸収を助けてくれます。従って食欲も出て貧血を早く改善します。その上に党参(とうじん)、茯苓(ぶくりょう)、甘草(かんぞう)が「気」を補うことにより補血(ほけつ)作用をさらに強めてくれます。

婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)はこうした4つの特徴を持ち、配合のすばらしさから、「補血(ほけつ)」・「調血(ちょうけつ)」の効能は四物湯(しもつとう)より優れ、まさに「女性の宝、美容の宝」です。同時に、女性のみならず、「血虚(けっきょ)」から起こるすべての症状に、したがって「冷え」を感じる男性にも婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)は適用できます。

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