女性を美しくする生薬のいろいろ|漢方のはなし

8.何首烏(かしゅう)

名前は「何」さんの伝説から髪をいつまでも黒くします。

何首烏(かしゅう)はタデ科の植物ツルドクダミの魂根で、「肝(かん)」と腎(じん)を補い、「清血(せいけつ)」を養うのが何首烏(かしゅう)の主な働きです。

何首烏(かしゅう)といえば、名前の由来となった有名な伝説があります。昔、何田児という名の者が山の中で互いに交織するように一つになった二本の藤状の蔓をだしている植物を見つけ、その根を煮詰めて飲んでみると、生まれつき弱い体が元気になり、頭の髪は真っ黒に変わり、黄色く痩せた顔はすでに影すらもなく、皮膚も潤ってきました。その子も孫も親子三代が長生きをしたという『何首烏伝』です。

その孫は百三十歳になっても、髪は烏漆で染めたように真っ黒で、人々は彼を「何首烏(かしゅう)」と呼びました。何は姓で、首は頭を、烏は黒を意味しているのです。この健康長寿の薬は、人から人へと伝えられるうちに、この植物の根茎に何首烏(かしゅう)という名が付けられるようになったのです。

何首烏(かしゅう)は肝(かん)・腎経(じんけい)に入り、「清血(せいけつ)」不足による目まい、耳鳴り、不眠、夢精、不正出血、肝腎不足による老化、体が弱い、髭や髪が早く白くなる、腰や膝がだるい、関節痛、しびれなどを改善します。高血圧、慢性B型・C型肝炎、老人性ソウ痒症(そうようしょう)などの乾燥性の皮膚疾患にもよい効果をあげています。加工した何首烏(かしゅう)は補う力に優れ、生の何首烏(かしゅう)は腸の働きを活発にして、便秘を治し、解毒の働きがあります。

特に髪は「血」の余りといわれ、腎の「精(せい)」からつくられ、何首烏(かしゅう)は特に腎(じん)を補う力が著しく強いので、髭や髪を黒くする働きが知られています。

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