ガンと免疫|漢方のはなし

8.正気を補い、病邪を取り除くことが漢方治療の原則です

中国漢方の考え方では、人体を含めて宇宙は陰陽で構成され、人体の構成成分である気、血、水のうち、気は目に見えない機能・エネルギーであり、陽ととらえ、陽気とも言います。血と水は物質であり、陰ととらえ、陰液とも言います。この陽気と陰液を合わせたものを正気と言います。この陽気と陰液は絶えず変化していますが、そのバランスが保たれ、正気が充実しておれば、体の免疫機構は正常に働き、健康は維持できます。しかし、何らかの原因で陰液と陽気のバランスが乱れると、正気が不足し、病気の原因である病邪との戦いに負け、病気が発生します。その中間の状態が未病です。 病邪には、
(1)外から侵入する外因である六淫(ろくいん)
(2)体の中から発生する内因としての七情(しちじょう)
(3)どちらともいえない不内外因として飲食の乱れ、過労と運動不足など
があり、中国漢方では病気の原因を大きく、この3つに分けて考えています。

風、感、暑、湿、燥、熱(火)という自然現象である六気が突然、あるいは激しく変化すると発病の原因である外因として外邪となり、それぞれを風邪、寒邪、暑邪、湿邪、燥邪、熱邪(火邪)と言い、六淫と呼んでいます。

「喜、怒、憂、思、悲、恐、驚」の7つの感情が七情です。 これらが内因です。これらが過度に、あるいは長期間続くと病気の原因になるからです。また、体の中にできた病理産物である、気滞(きたい)、痰湿(たんしつ)、?血(おけつ)なども内邪としてとらえています。

中国漢方では、この六淫や七情、飲食の乱れ、過労や運動不足などで病気は発病するとし、治療の原則は正気の不足を補い、また外邪、内邪の病邪を取り除くことです。これを扶正去邪(ふせいきょじゃ)といいます。

漢方のはなし