免疫を調整する生薬のいろいろ|漢方のはなし

16.免疫を促進する生薬 補陽薬 食用蟻

●かっては「貴族御用達」だった食用蟻

蟻(あり)を食べるというと、私たち現代人は顔をしかめがちですが、かっては貴族のみが許された高級食品でした。どうして貴族は蟻を食べたのでしょうか?実は食用蟻は栄養豊富で、補腎強骨(ほじんきょうこつ)、養肝栄筋(ようかんえいきん)、キョ風湿(きょふうしつ)、活血化オ(かっけつかお)などの働きがあり、これらの働きは、免疫力を高めるだけでなく、抗老防衰(老化防止)にも効果があるからです。しかし社会の発展とともに栄養不足という状況が少なくなりました。それとともに蟻はあまり食べられなくなりました。その蟻が今、再び生活習慣病や免疫疾患の救世主として脚光を浴びてきています。

●現代人に不足しがちなミネラルが豊富

蟻にはマンガン、マグネシウム、亜鉛、銅といった微量元素が豊富に含まれています。かってこれらは栄養という方面では無視されていましたが、最近、新陳代謝、免疫機能を活発にしたり、動脈硬化を予防するというような働きがあることがわかり、欠かすことのできない物質であるといわれています。

●免疫機能を強化し同時に過剰な免疫反応を抑制する

また、免疫力を高めるだけでなく、過剰な免疫反応を抑制することもできます。例えば、慢性関節リウマチの患者に使用したところ、免疫反応の異常な亢進によって現れる免疫グロブリン(IgC、IgM、IgAなど)の値が低下したり、RF(リウマチ因子、あるいはリウマイド因子)も陰性に転じたという実験報告も多くあります。

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