免疫を調整する生薬のいろいろ|漢方のはなし
22.過剰な免疫反応を抑制する生薬 五行草
●過剰な免疫反応を抑制する生薬 五行草(ごぎょうそう)
葉は青、茎は赤、花は黄、実は黒、根は白であることから五行草(ごぎょうそう)の名前がついています。五行草(ごぎょうそう)は別名を馬歯ケン(ばしけん)とも言いますが、実は日本では、一般に雑草あつかいされているスベリヒユのことです。比較的荒れた土地でも育つので、ヨーロッパでは夏の間サラダにして食べられています。
また、五行草(ごぎょうそう)には抗菌、抗ウイルス作用があり、白血球の作用を活発にして、免疫力を高める働きがあるので、中国では漢方薬として使われています。 特に大腸菌、赤痢菌、黄色ブドウ球菌に対する抗菌作用は優れており、夏の食中毒が発生しやすい季節に常用すれば食中毒を予防したり、嘔吐、下痢、腹痛などの症状を緩和することができるので、食品としても食べられています。
●下半身の感染症の治療に優れる
五行草(ごぎょうそう)の特徴を一言で言えば、下半身の感染症の治療に優れている点にあります。中医学では水は重く、低い方へ流れる性質があるので、水分代謝が悪くなると、余分な水分が下半身に集中して炎症を悪化すると考えています。 膀胱炎、腎盂腎炎、膣炎などで熱感、排尿困難を伴う場合や下痢、それに陰部のびらんを伴う痒みなど水分代謝異常を伴う炎症を湿熱(しつねつ)といい、これらの病気の治療に五行草(ごぎょうそう)が使用されます。