免疫を調整する生薬のいろいろ|漢方のはなし
21.過剰な免疫反応を抑制する生薬 板藍根
●過剰な免疫反応を抑制する生薬 板藍根(ばんらんこん)
板藍根(ばんらんこん)はアブラナ科の植物で、その薬に含まれる色素は染め物の原料として衣料の世界で使われています。その板藍根(ばんらんこん)が、今度はウイルス疾患、免疫疾患などの病気の治療薬として、医療の世界でも活躍しています。
抗生物質の発明により、我々は細菌の感染から身体を守ることが出来るようになりました。しかし、細菌より小さなウイルスは常に自分の形を変えていきますので、適切なワクチンを作ることが難しく治療することが困難です。
ところが、板藍根(ばんらんこん)などの清熱解毒(せいねつげどく)作用のある漢方薬はウイルスが形を変えても、相手を見失うことなく攻撃し、炎症を抑えてくれるので、理想的な抗ウイルス薬として注目されています。中国では板藍根(ばんらんこん)は非常に評価されており、上海で肝炎が大流行した時には患者だけではなく、医者や一般の人まで予防のために飲みました。その他、インフルエンザ、脳炎、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、ヘルペス、尋常性疣贅(いぼ)などの治療に広く使用されています。
●免疫力を高め、同時に過剰な免疫反応を抑え自己免疫疾患にも応用している
リウマチ、アトピーなどの自己免疫疾患は治療が困難な病気です。自己免疫疾患とは免疫が自分のからだ自体を攻撃してしまう病気です。免疫力を高めると炎症などの過剰な反応が強くあらわれ、かといって免疫力を抑制すると病気が治りにくくなってしまうからです。
板藍根(ばんらんこん)は清熱解毒(せいねつげどく)という、免疫反応による炎症を抑えるだけでなく、同時に免疫力を高める特徴があることから、自己免疫疾患の治療にとっては理想的ともいえる双方向性の作用をもった生薬(しょうやく)として珍重されています。