尿もれ(尿失禁)|女性のための漢方
漢方医学
漢方では尿もれ(尿失禁)は内臓の機能低下と老化からくる下半身の弱りと考えます。
たとえば、虚弱体質で胃腸が弱く全身倦怠感のあるような、尿もれ(尿失禁)の方には、身体の体力を補い内臓の機能を高める漢方薬が用いられます。
また、冷え性体質で下痢をしやすい尿もれ(尿失禁)の方には、内臓を温めるる漢方薬を用います。
そのほかに腎虚といって腎臓、膀胱などの泌尿器の機能が低下した状態でも、尿もれ(尿失禁)がみられます。腎虚は老化現象の一つでもありますが、妊娠などによって腎にひどく負担がかかるときにもなります。
年齢を重ねると、尿が近くなったり、夜中にトイレにおきたり、足腰がだるくなったり、生殖機能も衰えてきます。このような状態が腎虚です。腎虚からくる尿もれ(尿失禁)に は、腎機能を補う漢方薬を用います。
どのタイプの尿もれ(尿失禁)でも漢方療法は効果があるといえます。しかし、漢方単独の治療にこだわらずとも、西洋薬を併用したり、体操を取り入れるとよいでしょう。
西洋医学
女性の30パーセント近くが、尿もれ(尿失禁)で悩んでいるといわれています。しかし、恥ずかしいなどの理由から、病院などを受診する方は非常に少ないようです。
最近は尿もれ(尿失禁)がマスコミに取り上げられたり、コマーシャルなどでも頻繁に目にするようになり、ずいぶん開かれてきているように感じます。
尿失禁(尿のもれ)はさまざまな原因で起こると考えられますが、大きく分けると「腹圧性尿失禁」、「切迫性尿失禁」、「反射性尿失禁」の3つに分けることができます。
「腹圧性尿失禁」は中年だけでなく若い女性にも多く見られるもので、骨盤内の筋肉が弱くなり膀胱を支える組織が緩んで、くしゃみ、咳、大声で笑ったりしたひょうしに 、尿が漏れてしまうものをいいます。
また、難産だったり妊娠の回数が多いことによって、骨盤の筋肉が緩み尿もれ(尿失禁)になることもあります。
「切迫性尿失禁」は突然激しい尿意がきて、トイレまでもたずに漏れてしまうもので、原因としては、脳の指令が膀胱までうまく伝わらないこともありますが、ストレス等が原因となることもあります。
「反射性尿失禁」は膀胱に尿が溜まっても尿意がなく、そのまま反射的に尿もれ(尿失禁)をしてしまうものをいいます。原因としては脊髄や神経系の障害が考えられます。
西洋医学では、尿道括約筋の締まりをよくする薬や、ホルモン剤などの薬物療法が行われます。また、器具を用いて、尿道の位置を正常に戻す治療が行われたり、場合によっては手術が必用なこともあります。
日常生活
腰まわりの筋力を強化する体操として、お尻の穴を締めたり緩めたりする運動を、何回かに分けて一日10分程度続けるのもよいです。
また、冷え性体質の方は、冷たい飲食物を摂らないようにしたり、身体を冷やさないように心がけてください。
尿もれ(尿失禁)の漢方の実例
虚弱体質の尿もれ(尿失禁)の症例
細身で顔色に青白い女性です。普段から身体が弱く風邪をひいたり、下痢をしたりするたびに当店の漢方薬を服用していました。
最近は、風邪も引かなくなり胃腸も丈夫になって来たのですが、今回は、長いこと尿もれ(尿失禁)で悩んでいるとのことで相談を受けました。
今までも、尿もれ(尿失禁)は時々あったのですが、恥ずかしくて相談できなかったとのことでした。
尿もれ(尿失禁)はクシャミや咳をしたときにもありますが、一番困るのはトイレに間に合わないことが多くなってきたことでした。
この方は、冷え性で疲れやすさも見られたので、身体を温めて体力を補い腎臓や膀胱の働きを改善する尿もれ(尿失禁)の漢方薬を処方しました。
服用を始めて翌日には漢方薬の効果が実感できたとのことでした。服用を始めて一ヵ月後には尿もれ(尿失禁)はほぼ改善しました。
老化による尿もれ(尿失禁)の症例
中肉中背の方です。尿もれ(尿失禁)と頻尿に悩んで相談を受けました。
もともとは丈夫で病気らしい病気はほとんどしたことがなかったのですが、最近は疲れやすくなり、夜中もトイレに4~5回は起きるとのことです。
昼間もトイレが近く、日中10回くらい行くのですが、間に合わずに下着を汚してしまうことがよくあるとのことでした。
血圧が高く、口が渇いてよく水を飲むそうです。
この方は、70歳という年齢から、腎虚(腎臓や膀胱の機能が衰えている状態)と考えられます。
そこで、腎機能を補い老化を防ぐ尿もれ(尿失禁)漢方薬を処方しました。
一ヵ月後にはかなりの改善が見られ、3ヶ月の服用で、尿もれ(尿失禁)や頻尿の症状はほとんどなくなりました。
数ヶ月も続いた頻尿、残尿感、尿漏れなどの症状が、漢方薬で改善
女性 50歳代 頻尿 残尿感 尿漏れ
数ヶ月前に膀胱炎になり、病院で薬を処方してもらいました。
一時的に良くなったのですが、すぐに再発しました。
再度病院へ行き、同じ薬を処方してもらいました。
しかし、今度はよくなりません。
何回か薬を変えてもらいましたが、症状は変わらないままです。
病院では、菌が出ていないので治っていると言われました。
しかし、頻尿、残尿感、尿漏れなどの症状は続いています。
病院ではこれ以上よくならないので、漢方薬で改善したいとのことでした。
症状をお聞きしたところ、身体の冷えが強く仕事上の疲労が蓄積しているとのことでした。
そこで、身体を温めて体力を補いながら、腎機能や膀胱の働きを改善できるような漢方薬をお出ししました。
一ヵ月後に来店された時には、身体が温まり頻尿や残尿感がかなり改善していました。
尿漏れはほとんどなくなり、以前は離せなかった尿漏れパッドもしていないそうです。
その後、しばらく同じ漢方を継続していただき、ほぼ正常に改善したことから服用を中止しました。
膀胱炎が治っても、排尿時の違和感がいつまでも残っていました
女性 54歳 膀胱炎
膀胱炎になったので、病院から薬を処方してもらい、いったんは治っていました。
しかし、その数日後から排尿のたびに違和感が残ります。
再びクリニックで診てもらいましたが、もう治っているといわれました。
排尿時の痛みや出しぶりなどはありませんが、どうしても気持ち悪いというか、違和感が取れないとのことで来店されました。
症状を詳しくお聞きした上で、膀胱の働きを助けて、排尿時の違和感や気持ち悪さが改善できるような漢方薬をお出ししました。
15日分を服用した後に、再来店されました。
服用した翌日から症状が落ち着いてきて、ほとんど違和感を感じなくなったとのことです。
さらに一ヶ月分を服用して、ほとんど改善したとのことでしたので、漢方薬の服用を中止しました。
妊娠してからつわりと便秘で悩んでいましたが、漢方薬を服用して改善
女性 31歳 便秘 つわり
結婚してから子宝に恵まれず、漢方薬を服用してきました。
その甲斐があって、自然妊娠することができました。
その後も、当店で漢方薬を服用していただいていたのですが、つわりと便秘に悩まされるようになりました。
症状をお聞きして、つわりや便秘が改善できるような漢方薬をお出ししました。
妊娠中の過ごし方についてのアドバイスもさせていただきました。
漢方薬を服用して、翌日からつわりが楽になってきたそうです。
食欲不振もあったのですが、少しずつ食事もとれるようになってきました。
便秘も改善してきて、ほぼ毎日便通がありとても調子がよくなったそうです。
その後も日々の体調が安定して、無事にかわいい女の子を出産されました。
妊娠初期は、つわりや便秘で悩まされる方もいらっしゃいます。
漢方薬には、妊娠中でも安心して服用できるつわりや便秘の薬もあります。
辛い思いをされている方は、漢方薬を服用してみてもよいでしょう。
膀胱炎の後がスッキリしなかったのですが、漢方薬を服用してから落ち着きました
女性 58歳 膀胱炎
二ヶ月くらい前に膀胱炎になりました。
病院から処方された薬を飲み終えて、症状はある程度落ち着いたのですが、排尿後の気持ち悪さがいつまでも残っていました。
いずれ良くなると思って、そのままにしていましたが、残尿感、排尿時のピリピリ感、下腹部が重い、腰が重いなどの症状が出始めました。
また、日中は頻尿で10回以上トイレに行きます。
病院の薬はあまり服用したくないとのことで、来店されました。
症状をお聞きすると、かなりの冷え性体質だったので、身体を温めながら膀胱の働きを改善する漢方薬をお出ししました。
15日分の服用で、これまで訴えていた不快症状がほとんどなくなりました。
残尿感や排尿時のピリピリ感、下腹部の重かった感じは全くありません。
日中の排尿回数も6回~8回で、気持ち悪さもなくなったそうです。
こんなことなら、最初から漢方薬を服用しておけばよかったとのことでした。
ひどい便秘とお腹の張り、むくみで悩んでいました
女性 40歳代 便秘 むくみ
40代の女性ですが、10代の頃からひどい便秘で悩んでいるそうです。
市販の便秘薬を服用していますが、しばらく使っていると効かなくなり、数を増やすと下痢や腹痛で悩まされます。
いろいろな便秘薬を使ってきましたが、ある程度の期間で合わなくなるとのことです。
また、3,4日便秘が続くとお腹が張ってきて、下半身がむくんできます。
毎日、スムーズに便通が付くようになりたいとのことで、来店されました。
漢方薬を服用して一年が過ぎました。
錠剤タイプの便秘薬です。
2日に一度、一定の数を服用していますが、毎朝起きると、定期的に便通があるようになったそうです。
お腹も痛くならずに、毎日スッキリした気持ちで、出かけられるようになりました。
また、お腹が張ったりむくんだりすることもなくなりました。
便通に関しては、毎日がとても快調とのことです。
お子さんの便秘で悩んでいましたが、漢方薬を服用してから自然に便通が改善
女性 5歳 便秘
5歳の女の子です。
生まれたころからひどい便秘症で、いつも苦労していたそうです。
今まで、便秘がひどくなると冷たい水を飲ませたり、浣腸をしたりしてきました。
お子さんのお母さまが当店の漢方薬を服用していたので、たまたまご来店した際に相談を受けました。
なるべく便秘薬は服用せず、自然に便秘が治るようにしたいとのことです。
始めは、腸が自然に動くような漢方薬に、少量の便秘薬を併用していただきました。
7日分の服用で、便が柔らかくなってきたそうです。
今までは、何日も出ないと便が固くなっていたとのことです。
食事などにも中止していただきながら、少しずつ便秘薬を減らしていきました。
一ヵ月後には、便秘薬を使わなくても1~2日に一回は、自然に便通があるようになりました。
常習性の便秘が、漢方薬を服用して改善しました
女性 65歳 便秘
長年にわたり、便秘で悩んできたとのことです。
今までは、市販の便秘薬を服用してきました。
5~6日排便がないと、お腹が張って苦しくなってきます。
便秘薬を服用すると、お腹がしぶって痛くなり下痢をします。
そんなことを繰り返してきました。
ご近所の知り合いの方が、漢方の便秘薬を服用していて、調子が良いという話を聞いて来店されました。
丸剤の便秘薬をお出ししたのですが、服用当初は、下痢をしないよう、少ない量から服用するように説明しました。
その後に、何度かお電話をいただきました。
服用する量が少なくて、思うように効かないとのことです。
少しずつ服用量を増やすことによって、毎日の便通が整うようになってきました。
先日ご来店の際に、お話しを聞かせていただいたのですが、毎朝、朝食後に気持ちのよい便通があり、とても調子が良いそうです。
陰部の痒みと膀胱炎が、漢方薬で良くなりましたた
女性 膀胱炎 陰部の痒み
更年期になってから、陰部の痒みがありオリモノが出るようになりました。
婦人科で膣剤やホルモン剤を出してもらいましたが、あまり効果がなく副作用があるので止めたそうです。
最近になって、膀胱炎にもなってしまいとても悩んでいます。
もう、病院に行く気にもなれずに、漢方薬を服用してみようと思ったそうです。
始めに、膀胱炎を改善できるような漢方薬をお出ししました。
陰部の痒みよりも、排尿痛や排尿時の気持ちの悪さ、血尿などの症状が強かったので、膀胱炎を優先しました。
10日分の服用で、膀胱炎の症状はほぼ良くなりました。
その後に、陰部の炎症を抑え、オリモノや痒みが改善できるような組み合わせに変更しました。
一ヶ月の服用で、オリモノが減ってきたそうです。
3ヶ月後には痒みが、悪いときの1~2割まで良くなりました。
先日、別件でご来店いただきましたが、膀胱炎も膣炎も、その後は、再発していまいそうです。