肥満(ダイエット)|女性のための漢方
漢方医学
漢方で肥満を改善する場合は、脂肪太りの方に多いガッチリタイプの肥満症と、水太りで色白、ポッチャリの方に多い虚弱タイプの肥満症の2つに分けられます。
ガッチリタイプの肥満症は、食事のカロリー制限をして体に負担がかからない程度の軽い散歩などを取り入れます。
このような便秘を伴いお腹の周りに脂肪がついている方には、脂肪の代謝をよくする漢方薬を用います。
かた太りタイプで便秘があり、イライラなどの気の症状が強い場合には、気のめぐりをよくする漢方薬を用います。
冷えのぼせがあり、月経異常のある肥満症の人は血のめぐりをよくして、ホルモンバランスを整える漢方薬を用います。
虚弱タイプの肥満症は、カロリー制限だけではやせることはできません。
このタイプの方は基礎代謝が低下しているので、食べたものが直接脂肪となって肥満してしまいます。それほど食べないのに太ってしまうのはこのタイプの方に多いです。
基礎代謝を高めるためには、身体の中を温めることが大切です。むくみがあったり皮膚がブヨブヨして水分代謝が悪い方には 余分な水分をとる漢方薬を用います。冷え性で生理異常がある方には身体をあたため、血を補う漢方薬を用います。
冷えや余分な水分によって胃腸機能が低下している方には、胃の過剰な水分をとり胃の機能を高める漢方薬を用います。
虚弱タイプの方は、生野菜や刺身などの冷たい食べ物、飲み物を避け、火を通した食品や身体を温める唐辛子や生姜などの香辛料を多くととるようにしましょう。
いずれにせよ、漢方を用いながらダイエットを行う場合でも、本人の強い意思がキーポイントになることは間違いありません。
西洋医学
日本の女性のスタイルは、年々スリムになっているようです。そのため、「やせたい」という方が非常に多くなっています。
最近は、自然に無理なくダイエットをしたいという方が、漢方を用いるようになってきています。
ダイエットについてひとつ問題があるのは、肥満体質とは無関係のような方までも、ダイエットを希望されることです。
漢方のダイエットの対象になる方は肥満症の方です。標準体型の方が漢方でダイエットをしてもほとんど効果が見られません。
自分が肥満であるかどうかを図る基準にはいくつかの方法がありますが、比較的簡単に判断する方法としては、男性は身長(cm)-110cm、女性は身長(cm)-105cmが標準体重になります。これよりも20%を超えた場合は肥満症ということになります。
肥満症は見た目だけの問題ではなく、さまざまな病気にかかりやすくなります。
脂肪が多いと血液の中まで脂肪が多くなります。これは漢方でいう「お血(オケツ)」という状態で、血液がドロドロした状態です。
お血になると、癌、糖尿病、高血圧、動脈硬化、心臓病、痛風などをはじめ、多くの病気にかかりやすくなります。
日常生活
肥満を解消するためには、食事が大切です。自分の必要なエネルギー以上にとるにで、余分なエネルギーが蓄積して太ってしまいます。
カロリーの低い和食中心のメニューにし、脂肪分の多い揚げ物、炒め物を避けた食事をとるようにしましょう。また、間食をやめましょう。
運動も生活の中に取り入れ、定期的に身体を動かすようにしましょう。
肥満(ダイエット)の漢方の実例
水太り体質の肥満症の症例
色白でぽっちゃりした方です。むかしから、いろいろなダイエットを試したが、なかなか痩せられないとのことでした。
症状としては、疲れやすく汗をかきやすい、イライラが強い、血圧が低い、口が渇く、足がむくむ、小便が遠いなどを訴えています。
汗をかきやすい、口が渇く、足がむくむ、小便が遠いなどは「水」の代謝が悪くなっていることが疑われます。そこで水太りタイプ の肥満と判断して、漢方薬を30日分服用していただくことにしました。
また、普段からジュースなどの水分をかなり摂っていたようなので、口が渇いたときは温かいお茶を飲むことと、運動不足があったので、休みの日や朝など時間を見つけて軽い運動をすることをおすすめしました。
一ヵ月後に来店した際には、体重が2kg減ったとのことでした。
その後もこの処方を半年ほど継続して服用した結果、70kgあった体重が62kgまで落ち、以前のようにすぐ汗をかくこともなく、足のむくみや排尿異常も改善されました。
脂肪太りと高血圧の症例
姑さんが他界されてから、家庭の事情でいろいろなストレスがかかり、55kgだった体重が8kgも増え、おまけに血圧も高くなり 、身体の具合も悪くなってしまったとのことでした。
症状をうかがうと、便秘症、血圧は上が170、下が100位で顔がほてって赤くなることがあります。肩こりも強いとのことでした。
病院では高血圧の薬を処方されています。イラつきがあって、ついついストレス食いをしてしまうとのことです。
この方は脂肪太りタイプの肥満症と判断して、それに適した肥満症の漢方薬をおすすめしました。
また、毎日散歩などの軽い運動をすることと、食事もカロリーを抑えたものを、少しずつバランスよく摂るようにアドバイスをしました。
一ヶ月後の来店時では、体重はほとんど変化はないものの、腰回りがすっきりした感じがするとのことでした。
さらに同じ処方を続けて、2ヶ月目から少しずつ体重が減り始め、約半年で肥満症も改善し、ベスト体重の55kgまで戻すことに成功しました。
血圧も徐々に安定してきています。