ストレスにやさしい生薬のいろいろ|漢方のはなし

6.ストレスから虚弱が、虚弱からストレスが起きる

気(き)・水分・血が不足すると・・・

 ストレスが長期間に及ぶと身体は徐々に虚弱になっていきます。

気(き)には臓腑の働きをスムーズにする働きがあることは既に説明しましたが、気滞(きたい)のため胃腸の働きが低下し、栄養分が吸収できなくなり、様々な虚弱症状が現れるようになります。

食欲不振・食後もたれやすい・手足に力がはいらない・やる気がでない・疲れやすい・ちょっと動くだけで汗をかく・カゼをひきやすいなどの症状が現れるのは「気虚(ききょ)」とよばれるエネルギー不足状態にあることを現しています。このような場合には「補気薬(ほきやく)」で気(き)を補います。

口が渇く・のぼせやすい・手足がほてる・寝汗をかく・肌が乾燥するなどの症状が現れるのは「陰虚(いんきょ)」と呼ばれる潤い不足の状態にあることを現しています。このような場合には「補陰薬(ほいんやく)」で水分・潤い分を補います。

肝臓は血液を貯蔵する器官でもあり、ストレスが蓄積して気滞(きたい)が生じると血液を消耗しています。

血液が不足した状態を「血虚(けっきょ)」と言います。血虚(けっきょ)では、顔色が悪い・めまい・抜け毛・爪がもろく割れやすい・手足がしびれる・生理が遅れる・閉経などの症状が現れるようになります。このような場合には「補血薬(ほけつやく)」で血液を補います。 最も「血」を必要としているのが脳

身体の中で最も多く血液を必要とするのは脳ですが、血液が消耗すると脳に充分な血液  が供給できなくなり、不眠・不安・健忘・怒りっぽいなどの「心神不安(しんじんふあん)」という異常な精神症状が起きます。このような場合には「安神薬(あんじんやく)」で精神活動を安定させます。

「気虚(ききょ)」「陰虚(いんきょ)」「血虚(けっきょ)」といった虚弱状態ではストレスに対する抵抗力もありませんから、このような体質の方はちょっとしたストレスにも耐えることができずに、すぐに「気滞(きたい)」が起きさらに病状を悪化させてしまいます。

まさに「病は気から、気は病から」ということができます。

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