ストレスにやさしい生薬のいろいろ|漢方のはなし

17.痰(たん)をとる生薬

痰(たん)と言えば半夏

中医学では体内に停滞したドロドロの病理産物を痰(たん)と呼んでいます。広い意味では、ノドから出る痰(たん)だけでなく、鼻水、血管や内臓に堆積したコレステロールなどの脂分も痰(たん)の仲間に含まれます。

中医学では経絡・経脈と呼ばれている道を気(き)や血(けつ)が流れ、それによって全身に栄養や情報を伝えているとしています。もし痰(たん)がこれらの通り道に滞(とどこお)ると不眠・めまい・動悸・喘息・吐き気・胸のつかえ・むくみ・手足のしびれ・半身不随などを引き起こします。

このような状態を改善するのがサトイモ科の植物の半夏(はんげ)です。このため半夏(はんげ)を主成分とする漢方薬も多く、しかも多くの病気に応用されています。神経症・不眠を治療する代表薬としては温胆湯(うんたんとう)があります。

竹からつくったキョ痰(きょたん)剤・・・竹茹(ちくじょ)

心配事が無事解決したときによく「溜飲が下がる」と表現しますが、この溜飲も中医学でいう痰(たん)の仲間です。ストレスが慢性化すると痰(たん)が生まれ時間とともに熱を帯び、胸の中に熱い塊がつかえたような感じがして、落ち着かない・驚きやすい・不安・不眠・胃がむかつき、吐き気がするなどの症状が現れる事があります。

このような時に使用されるのがイネ科の植物であるホウライチクを乾燥させて作った竹茹(ちくじょ)という生薬(しょうやく)です。清熱(せいねつ)・キョ痰(きょたん)・止嘔などの働きがあり、痰熱(たんねつ)による症状を和らげます。

フラボノイドが豊富な沙棘(さーじ)

厳しい環境に育つ植物には抗ストレス作用を持つものが少なくありませんが、グミ科の植物である沙棘(さーじ)もその中のひとつです。

沙棘(さーじ)パワーの秘密はフラボノイドで、同じようにフラボノイドを含むイチョウ葉より遙かに優れています。心臓に豊富な血液を供給することにより心臓を保護する、抗酸化に優れ動脈硬化を予防する、血圧・血糖・コレストロール・血液粘度を低下して生活習慣病を予防するなど・・・まさにストレスニよって起きるトラブルから体を守ってくれる救世主です。

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