ストレスにやさしい生薬のいろいろ|漢方のはなし
14.陰虚を改善する生薬
ほてりを鎮め身体を潤す
西洋人参(せいようにんじん)は朝鮮人参と同じウコギ科の植物でアメリカやカナダが原産地です。
ストレスが長期間におよぶと中枢神経が興奮して血圧が上がり、のぼせ・ほてり・口の渇き・胸苦しいなどの症状が現れるようになります。このような時は、ストレスによって消耗されたエネルギーを補わなければならないのですが、朝鮮人参には非常に強力な滋養、作用があるものの、温める性質が強いので熱を助長してしまう可能性があり使うことができない事があります。
西洋人参はエネルギーだけでなく潤いを補う働きに優れており、しかも体の中にこもった熱を冷ましてくれる働きがあるので、発熱性消耗疾患の回復期や、血圧の高い方やのぼせやすい方でも安心して使うことができます。
熱によって消耗した水分を補う
日本ではユリ根を食べる習慣があるところがありますが、これもりっぱな漢方薬です。同じユリ科の植物の麦門冬(ばくもんどう)は潤いを補う働きにすぐれているところから、中医学では水分の不足した状態を治療する場合、よく使われる生薬(しょうやく)です。
麦門冬(ばくもんどう)は現代医学的には解熱・消炎・抗菌・鎮咳・キョ痰・利尿・強心・強壮などの働きがあるとされています。
中医学的には肺や胃を潤す働きに優れていると考えられており、胸が熱っぽく気持ちが落ちつかなかったり、カラ咳がでたり、口が渇いて食べたものが胸につかえるような感じがするような場合によく使用します。
このほか、夏の暑い時に多量に汗をかくと、頻脈・血圧低下などのショック症状や、虚脱の症状が現れることがあります。このような場合、エネルギーを補う人参(にんじん)と、体を引き締め発汗を抑制する五味子(ごみし)などと合わせることにより、暑気あたりや暑さ負けを予防・治療することができます。