ストレスにやさしい生薬のいろいろ|漢方のはなし
12.気虚を改善する生薬
厳しい自然環境に育つシベリア人参(にんじん)
シベリア人参はエレウテロコックとも呼ばれるウコギ科の植物です。精神安定・鎮静・安眠・自律神経調節などの働きがあり、ストレスを受けた場合に速やかに適応できるように調節する働きがあることから、ストレスを受けやすい環境や状態にある方が普段から使用していると病気になりにくい身体を作ることができます。シベリアの極寒の地に育つだけあって身体を温める働きに優れており、冷え症タイプの方に特にお勧めです。
海抜4,000~5,000メートルの高地に自生する
紅景天(こうけいてん)はベンケイソウ科の植物で、酸素濃度の薄いチベットの高地でもたくましく成長する植物です。抗ストレス作用ももちろんですが肺機能を向上する働きに優れており、全身に新鮮な酸素を供給することにより代謝を促進して、疲労回復・老化防止・免疫力の向上などに優れた効果をあげることができます。
伝統的な補気薬(ほきやく)で胃腸機能を高める
白朮(びゃくじゅつ)はキク科の植物で胃腸の働きを高めるとともに水分代謝を促進する働きがあることから、多くの胃腸薬に配合されています。食欲不振・食後お腹が張ってもたれやすい・慢性の下痢・体がむくみやすいなどの症状がある場合には、茯苓(ぶくりょう)・甘草(かんぞう)・党参(とうじん)などの補気薬(ほきやく)と合わせて使用します。
何でもおまかせ働き者
黄耆(おうぎ)の作用は多方面に及び、胃腸機能を促進するだけでなく、発汗を抑えカゼをひきにくくしたり、血液の生成を促したり、なかなか傷口が治らない場合は修復を促進したり、身体を引き締めて胃下垂・脱肛・子宮脱を治したり、排尿を促進してむくみを治したりすることができます。しかも組み合わせによっては一緒に使った生薬(しょうやく)の機能を高める働きもあり、ストレスで全身機能が低下した人には使いやすい生薬(しょうやく)です。