ストレスにやさしい生薬のいろいろ|漢方のはなし

16.オ血(おけつ)をとる生薬

突然死から守ってくれる丹参(たんじん)

社会が複雑化することによって生じるストレスや、便利さや表面上の安全性だけを追求した現代人の食生活は、血管を緊張させて収縮したり、血液をドロドロにして、心筋梗塞・脳梗塞・脳溢血などの命にかかわる病気をひきおこしやすくします。シソ科の植物である丹参(たんじん)は、末梢血管を拡張したり、血液がドロドロになり血管に詰まりやすくなった状態を改善する働きに優れています。

頭痛・肩こりなどの軽い血行不良による症状が見られる場合や、慢性的に高血圧・高コレステロール血症を患っている方が使用すると突然死を予防することができ、漢方だけでなく現代医学の方面からも非常に注目を浴びています。

また脳梗塞の後遺症に見られる半身不随や老年制痴呆症など、脳血流障害による疾患にも応用することができますので、リハビリテーション医学の方面からも期待されている生薬です

気血(きけつ)の流れをともに改善・・・川キュウ(せんきゅう)

セリ科の植物の川キュウ(せんきゅう)は、もともとの名前をキュウキュウと言います。中国では日本のお米の産地と同じように、どこどこで栽培されたものが一番良いかというランクづけがあり、四川省で育つキュウキュウが高品質なことから「川キュウ(せんきゅう)」と呼ばれるようになり、これがいつのまにか生薬(しょうやく)の名前になりました。

川キュウ(せんきゅう)には血液だけでなく、気(き)の流れをスムーズにする働きもあるので、イライアラや動悸を伴う病気や、生理不順・生理痛などの婦人科疾患にも丹参(たんじん)・当帰(とうき)・芍薬(しゃくやく)などとともに良く使用されています。

止血作用もある田七人参(でんしちにんじん)

川にゴミが詰まると水があふれることがあるように、血液が詰まりそのため出血が現れることがあります。このような場合血液の流れを止めると逆効果で、反対に血行を改善する必要があります。ウコギ科の植物の田七人参(でんしちにんじん)には血行を改善する働きとともに止血作用もあり、胃潰瘍・生理痛・捻挫・打撲など出血や内出血を伴う病気の治療に適しています。

漢方のはなし