ストレスにやさしい生薬のいろいろ|漢方のはなし
10.理気作用のある生薬 木香(もっこう)・香附子(こうぶし)
理気止痛(りきしつう)校歌に優れる木香(もっこう)・香附子(こうぶし)
気(き)が滞(とどこお)ると、胃やお腹が張る・脇になにか詰まったような不快感がある・ゲップやガスが多い・イライラして気持ちが落ち着かないなど気滞(きたい)と呼ばれる一連の症状が現れます。
気滞(きたい)が更に悪化すると痛みが現れます。気滞(きたい)が原因となって起きる痛みには、痛む場所は一カ所に固定せず移動しやすい、痛みは感情の変化により増減し、気にすれば気にするほど痛くなる、ガスやゲップが出ると楽になるなどの特徴があります。
このような痛みが現れた場合には、キク科の木香(もっこう)がよく使用されます。お香の材料としても使われる木香(もっこう)は、気(き)の流れを改善し気分を落ち着けるだけでなく、痛みを止める「理気止痛(りきしつう)」作用にすぐれ、しかも殺菌作用もあることからストレスだけでなく、食べ過ぎや食あたりによる腹痛の治療にもよく使われています。
香附子(こうぶし)はカヤツリグサ科の植物の根茎で山ザ子(さんざし)と同じような「理気止痛(りきしつう)」作用があります。この他香附子(こうぶし)の特徴として、血行を促す「活血(かっけつ)」という働きがあり、血行不良による痛みを改善する働きもあります。
生理中に様々な不定愁訴を訴える方がいますが、胸やお腹が張る・イライラする・気分が落ちこむなどの症状は「気滞(きたい)」によるもので、腹痛・生理痛に黒い塊が混じる・頭痛などの症状は「オ血(おけつ)」と呼ばれる血行不良によるものです。
香附子(こうぶし)は「理気活血(りきかっけつ)」して生理を整えることができることから生理不順・生理痛・不妊症・閉経などの婦人科疾患の治療によく使われます。
このように血行を促す働きがある香附子(こうぶし)ですが、「オ血(おけつ)」が顕著な場合は丹参(たんじん)・紅花(こうか)・川キュウ(せんきゅう)・赤芍薬(せきしゃくやく)などの活血薬(かっけつやく)を合わせて使うことにより、治療効果を高めることができます。