ストレスにやさしい生薬のいろいろ|漢方のはなし

8.理気作用のある生薬 柴胡(さいこ)

疎肝薬(そかんやく)としてよく使われる柴胡(さいこ)

 日本の病院では、肝炎などの肝臓病やこじれたカゼの治療に、柴胡を主成分とした小柴胡湯(しょうさいことう)がよく使用されているようです。これは柴胡(さいこ)には解熱・鎮痛などの働きがあるからですが、このような使い方は現代医学的な使い方と言えます。

中医学では、柴胡(さいこ)には「疎肝(そかん)」という働きがあるとしています。疎には塞がっているものを通すという意味があり、疎肝(そかん)とは肝(かん)に滞(とどこお)った気(き)を通し、肝(かん)の働きを正常にするということを現しており、肝(かん)の気滞(きたい)による胸や脇のあたりの張りや不快感・生理不順・生理痛などの治療によく使用します。

柴胡(さいこ)はセリ科の植物の根で独特の芳香があります。実はこの香りが柴胡(さいこ)の重要な成分の一つで、気分をリラックスさせてうっ積した邪気(じゃき)[ストレス]を発散する働きがあります。理気薬(りきやく)のほとんどはこの香りが重要な成分ですから、この独特な香りがあるかどうかは生薬(しょうやく)の効き目を左右します。

疎肝(そかん)作用のある柴胡(さいこ)はストレスの良薬と言えますが、ひとつ注意しなければならないこともあります。それは気(き)の流れを良くする一面、身体を乾燥させるといった欠点があるからです。従って、慢性病や虚弱体質で身体の潤いや血液が消耗しているような場合には当帰(とうき)や芍薬(しゃくやく)のような補血薬(ほけつやく)などを合わせて使用する必要があります。

小柴胡湯(しょうさいことう)は寒けと熱っぽさが交互に現れるようなタイプのカゼの治療にも応用することができますが、もともと潤いを補うような生薬(しょうやく)は含まれていないので、長期間連用したり、老人などに使用する場合は充分に注意する必要があります。

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