男性を強くする生薬のいろいろ|漢方のはなし

12.海馬(かいば)

海馬(かいば)とはタツノオトシゴのこと。今や薬膳料理の定番になった感が!

海馬(かいば)はヨウジウオ科のオオウミウマ、サンゴタツの内臓を取って乾燥したものです。姿形から日本では、タツノオトシゴといわれています。種類も多く、背中に突起のあるイバラタツを刺海馬(しかいば)、また7cm以下の小さなものを海蛆(かいそ)、小海馬(しょうかいば)などと言って区別することもあります。さらにヨウジウオ科のトゲヨウジは海馬(かいば)と同じ仲間で、海竜(かいりゅう)といいます。日本名のヨウジウオは揚子魚と書き、タツノオトシゴとは違って、楊子のように細長い魚ですが、いずれも薬性は甘(かん)、薬味は温(おん)で、効能もほぼ同じです。  その効能は「補腎壮陽(ほじんそうよう)」と「調気活血(ちょうきかっけつ)」で、腎陽虚(じんようきょ)のインポテンツや勃起不全、夜間頻尿、慢性の咳などだけではなく、肝(かん)にも働き血の流れを良くする働きもありますので、難産の時にも使っています。

体力、精力の衰えを感じ始めたら、またひどく疲れたら、一度薬膳料理の定番になりつつある海馬(かいば)入りスープを試されたらいかがでしょうか。きっと、体全身に血が、精気がみなぎってくることが実感できるはずです。

海馬補腎丸(かいまほじんがん)には19種類の生薬が

海馬(かいば)を使った中成薬(中国で作られた漢方薬)で一番よく知られているのが海馬補腎丸(かいまほじんがん)です。この海馬補腎丸も至宝三鞭丸(しほうさんべんがん)の39種には及びませんが、含まれている生薬(しょうやく)の数は19種と多く、鹿茸(ろくじょう)、蛤カイ尾(ごうかいび)、海狗腎(かいくじん)、鹿腎(ろくじん(鹿のペニスと睾丸))なども含まれています。

オウミウマ(大海馬)のアルコール抽出エキスを正常なメスのマウスに与えるとその発情期を延ばし、去勢したネズミに対しても発情期を発現させたといいます。また、マウスの子宮と卵巣、前立腺と精嚢など、いずれの重量も増やしました。このことからオスには男性ホルモン様作用を示しています。すなわち、男性、女性どちらの性機能も高める働きがあることが分かっています。

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