男性を強くする生薬のいろいろ|漢方のはなし

19.巴戟天(はげきてん)

巴戟天(はげきてん)は「安心の強壮剤」あらゆる足腰の痛みと衰えに

巴戟天(はげきてん)はアカネ科のヤエヤマアオキに属し、他の木をよじ登っていくツル性の植物で根の部分を用います。名前のいわれはよく分かりませんが、中国の広東、広西、福建などで自生し、栽培もされています。

働きは淫羊カク(いんようかく)に似て、腎陽虚(じんようきょ)のインポテンツ、勃起不全、早漏、尿失禁、頻尿、不妊、月経不順などによく使われています。しかし、淫羊カク(いんようかく)のように体の水分をとって乾燥させてしまう様な強い働きはありません。また、急激な寒さや湿気のある時に痛みが強くなる腰痛、関節痛などにも利用されています。

清の時代の薬物書である「本草求真」に巴戟天(はげきてん)は「腎(じん)を補う要薬であり、よく五労(ごろう)(志労、思労、心労、憂労、痩労の五つ)七傷(しちしょう)(怒り、喜び、悲=憂い、恐れ、驚き、思い過ぎの七つで体の調子を崩すこと)を治し、陰(いん)を強め精(せい)を益するために、身体がよく潤う。しかし、気味(きみ)は辛温(しんおん)であるので、よく風(ふう)を去り、湿(しつ)を除く。従って、あらゆる腰膝疼痛、脚気、水腫れなどの症にも服用して一層有益である」と書かれています。

生薬は1つよりもいくつか組み合わせ「配合の妙」で効き目を高めている

一般に、中医学に使われている生薬の働きは一つの成分だけでは単純に解き明かすことはできません。なぜなら、日本の民間薬と違い、中医学の処方はいくつかの生薬を組み合わせ、それぞれの量を調節することによって、いくつかの成分が複合し、また体の中でその成分が変化して、単に1つ1つの成分がプラスされるだけでなく、助け合い、相乗的に色々な働きを発揮しているからです。そのメカニズムは現代の科学技術でもまだ十分に説明することは不可能です。まさに。「配合の妙」、「自然の神秘」ではないでしょうか。

巴戟天(はげきてん)は至宝三鞭丸(しほうさんべんがん)、参茸補血丸(さんじょうほけつがん)、双料参茸丸(そうりょうさんじょうがん)などの補腎薬(ほじんやく)に配合されています。

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