更年期のおはなし|漢方のはなし
2.冷え・のぼせ
下半身や手足が冷えるのに顔や首がほてってのぼせやすい。更年期の女性に最も多い訴えであるが、若い女性にもよく見られる。西洋医学的に治療法もなく、あまり重要視されないが漢方医学では、 この冷えのぼせは体内のアンバランスがある証拠で、主として二つのタイプが考えられる。ひとつは『気滞気逆』タイプで、いわば自律神経失調型である。この場合はさらにイライラしやすい・ 感情の浮き沈みが激しい・感情をコントロールできないなどの症状が目立つ。また、お腹が脹る・便がすっきり出ない・などの症状もよく現れる。自律神経のバランスを整える『疏肝理気降逆』の漢方薬を使う。 有名な逍遥丸や加味逍遥散はその代表格である。月経前に冷えのぼせなどの症状が強く現れることが多いので、月経前二週間は増量し服薬すると、より効果的である。
もうひとつは『お血阻滞』タイプ、いわゆる血行障害型で、血行を改善し血管の収縮・拡散のバランスを整える必要がある。漢方で『活血化お降逆』の薬が使われる。ファーストチョイスは婦宝当帰膠で、 閉経してない方には特に良い。 このタイプの方は冷えのぼせの他に、肩こりや頭重・頭痛や便秘も多いので、この婦宝当帰膠に通導散を加えて、便が少々軟らかくなる量に調節すると素早く奏功する。
臨床では二つのタイプは混合で現れることも多く、そんなとき加味逍遥散と婦宝当帰膠は、黄金コンビと言える。