更年期のおはなし|漢方のはなし
20.ミミズとアリの薬対
ある70代の老人は、足首の関節痛が半年以上続き、病院でいろいろと検査をしたが、特にこれといった原因もなく、加齢によるものと言われ消炎鎮痛薬でしのいでいました。しかし痛み治らないし、 胃の調子もだんだん悪くなり、知人を通して「何か良くなる漢方はないか」と尋ねられました。しかしご本人にも会っていないし、詳しい状況が分からないので、関節痛に最も基本的な薬対(やくたい)という互いに効果を高めるために組み合わせて使う生薬のことである地竜(ミミズ)と食用の蟻(アリ)を勧めました。服用して2週間ほどで消炎鎮痛薬を飲まなくてもいられるようになり、大変喜んでいただきました。 実際、ミミズとアリを合わせて使うことは漢方的には、理にかなった方法です。漢方では、痛みを主訴とした疾患はお血(血行障害)との関連が深いと考え、血行をよくする活血化お(かけっかお)の生薬を使います。
実際、ミミズとアリを合わせて使うことは漢方的には、理にかなった方法。漢方では、痛みを主訴とした疾患はオ血(血行障害)との関連が深いと考え、血行をよくする活血化おの生薬を使います。ミミズはオ血を取る方に優れているばかりでなく、特に関節、筋肉、筋腱と関連する場所に作用しやすいものです。この作用を気の流れる道である経絡(けいらく)を通じさせ、気の流れを良くしますので、引経通絡(いんけいつうらく)作用といいます。
その上、アリはミミズと似た活血作用以外に補肝腎、強筋骨といった老化、退化による関節、腱、筋肉の症状を改善するパワーもあります。この観点から独歩丸を加えて使うと更に効果的です。
漢方薬は、関節痛の痛みを止めるだけでなく、痛みの原因である血行不良や老化、退化による組織の損傷を改善するので、鎮痛剤ばかりに頼っている方にぜひお勧めします。