更年期のおはなし|漢方のはなし
13.便秘と更年期
更年期障害の症状に便秘はよく見られます。たかが便秘だなんて思わないで、しっかり対策を考えましょう。と云うのは便秘が更年期障害を治療する上で邪魔していることが多いからです。もとの体質や便秘となった 原因も異なる。特に更年期の方は体内環境が複雑で便秘以外にも多彩な愁訴が現れるので単なる便秘に着目するのは否定します。是非「一石二鳥」の総合対策を考えてもらいたいです。更年期が背後にある便秘を良くみられるタイプにごとにあげていきます。
(1)お血便秘タイプ
便秘になると肩こり、血圧の上昇、冷え、のぼせが顕著に悪化する。お血を除きながら便通をよくする[化お通腑]の通導散、桃核承気湯を使うとシャープな効きめが期待できます。
(2)肝うつ気滞タイプ
便通がよいときもあれば、全くでないときもあります。便秘になると、強く下腹部が張り、膨満感、ガスが多い。イライラなどが現れる。体をリラックスさせて、便通をよくする疎肝理気通腑の 柴胡加竜骨牡蠣湯がよく奉功する。但し、使う量は個人差が激しいので要注意です。
(3)精血不足タイプ
「市販の便秘薬は効きすぎて腹痛や下痢を起こす」といって飲まないので便が出ず、便秘しても腹満脹の症状が出ない。睡眠不足や疲労などで著しく悪化します。精血を補い、腸に潤いを与えて 便通を通りやすくする。六味地黄丸類や何首烏、当帰の多い製剤は少々時間がかかるが確実に効果が現れます。