更年期のおはなし|漢方のはなし

12.失禁と更年期

70代半ばの女性の事例です。疲労感と冷え性のために、薬局で勧められた「双料参茸丸」という漢方薬を2ヶ月ほど服用したところ、50代半ばから悩み続け、諦めていた尿失禁が思いもよらずすっかり良くなりました。 その女性から、なぜ失禁が治ったかと聞かれました。 西洋医学では説明できないが、漢方の世界ではむしろ当たり前で、このようなことはよくあります。

漢方では、加齢による老化は[腎]と深く関係しているとみます。 〔腎イコール腎臓ではない〕いわば腎の衰えは体の老化の始まりという具合。女性の場合35才を境に腎が少しずつ衰えていきます。

特に42才を過ぎてから閉経まで衰えが加速され、その後も衰えは少しずつ加速され、その後も衰えは少しずつ進行します。この腎に尿や大便を漏らさないようにする働きがあります。

この働きも腎の老化とともに 低下してゆきます。その為に、更年期あたりから尿が我慢できなくなったり、咳やくしゃみ、腹に力を入れるときに失禁をしてしまうことになります。例の女性が服用していた[双料茸丸]は腎の加齢による衰えを緩和し、 特に尿や大便をもらさないように締めつける力を高めるので、長年の悩みが解消されたのです。

失禁以外に冷えやすい方は、双料茸丸の他に海馬補腎丸もよく使う。失禁以外にむしろ、ほてりやすく熱がりなら、 杞菊地黄丸や八仙長寿丸・瀉火補腎丸が良いでしょう。更に冬中夏草を加えればなおさら効果が現れやすいのです。

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