更年期のおはなし|漢方のはなし

10.情緒不安と更年期

以前よりイライラし、怒りっぽくなったり、漠然とした不安を感じたり、くよくようつうつとしたり涙もろくなったり、感情の起伏が激しく情緒不安定になっていることに気づいたら周りのせいにせず、 更年期の前ぶれの可能性もあるので安易に無視しないようにしましょう。漢方では女性の性機能の成熟や衰退に深く関わる内臓に〔肝と腎〕がありまする。勿論、西洋医学でいう肝臓や腎臓とは違うもので、肝は、「疏泄」と言い、 気持ちをのびやかにおだやかにして感情をうまくコントロールする働きがあります。同時に「蔵血」作用で十分な血液を蓄えてホルモンの働きを維持してバランスを整えるのに働きます。このような働きは、 腎の支えが必要で40代半ばを過ぎると腎の衰えが著しくなり、肝を支えきれなくなるため肝の疏泄や蔵血の機能が低下して乱れてしまいます。

肝の疏泄作用が乱れるとイライラし、怒りっぽいし切れやすくなります。肝の「蔵血」作用が低下すると不安感や落ち込み、抑うつ、無気力のうつうつ症状が現れます。一見、精神的、情緒的な症状なので精神安定剤に 頼りがちだが、漢方的にみるとまさしく「体から心に現れる症状が出る」と称すべきで、体の衰えとアンバランスによる心の乱れなので体と心を同時に治さなければ治すタイミングを逃してしまうだけでなく、 やがては本格的な更年期障害に悩まされることになります。そんな時期のいらいらタイプに天王補心丹、加味逍遥散を、うつうつタイプには帰脾錠や十全大補丸、抑肝散がとてもよく、また養生として、なつめやシベリア人参 をハーブティとして飲むことをお勧めします。

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