更年期のおはなし|漢方のはなし
9.骨粗しょう症
高齢化が進む中、骨の老化により骨に目の粗い軽石やスポンジのように小さい孔がたくさんあいて、もろく、折れやすくなっている骨粗しょう症に関心が高まっています。これは閉経後に起こりやすく、特に50歳以上の女性に圧倒的に多くみられます。 その理由は閉経後に女性のホルモンの一種であるエストロゲン(卵胞ホルモン)の激減が骨カルシウムを減少させることは周知の通りです。
この他にも甲状腺ホルモンの一種であるカルシトニンは骨の形成を促進し、さらに副甲状腺から分泌されるホルモンの パラソルモンはカルシウムを骨から血中に移動させる働きがある一方、腎臓でのカルシウムの再吸収およびビタミンDの活性化を促す役目もあります。
このように女性ホルモン以外にも摂取したカルシウムが腸でしっかり吸収され、更に骨を形成(骨を丈夫にする)のに、甲状腺や副甲状腺、腎臓も深く関わっています。
つまりカルシウムさえ取っておけば良いと言う訳にはいきません。前述した通り、漢方で言うと骨の形成は<肝腎>が必要となる。漢方で言う<肝>は女性ホルモン以外に、甲状腺、副甲状腺と関連性が高く、 <腎>は腎臓や女性ホルモンと関係しています。漢方最古の書物には、<腎は骨を主る>と書かれている。そのため、骨粗しょう症の予防、治療方法として肝腎を強化することが大切で、漢方薬では逍遥丸と 杞菊地黄丸など六味丸類ないし海馬補腎丸を併用されることをおすすめします。