更年期のおはなし|漢方のはなし
15.子宮筋腫
日本では子宮筋腫=桂枝茯苓丸という風潮がありますが、それは漢方による子宮筋腫治療の一部にすぎません。子宮筋腫のしこり(平滑筋細胞・間質結合組織の増殖によるもの)をオ血として捉え、 桂枝茯苓丸を含む活血化オの漢方薬を基本として使います。桂枝茯苓丸は二千年前に書かれた金匱要略に記載されている処方で、のちに改良され折衝飲となった。近代に医林改錯の血府逐オ湯が登場し、活血化オの漢方薬の主役として注目されています
中国では子宮筋腫に血府逐オ湯を加減して使うことの方が多いのです。また筋腫が早く縮小するために、消腫散結の田七人参を加えて昆布、牡蠣、あわびなどを食事に積極的に取り入れてみてください。
以上は子宮筋腫の漢方治療の基本ですが、子宮筋腫すべてにこの処方が、これで十分とはいえません。いくつか特殊な対応も必要となります。
(1)月経痛の強い方
日ごろから血府逐オ丸十田七人参を服用し、月経時に効きめが早く吸収も良い冠元顆粒を2・3日間、1日2~3回を併用すると痛みが緩和されやすくなります。
(2)出血量の多い方
特に粘膜下筋腫は小さくても、月経時の出血が大変多いので、たちまち貧血を招いてしまいます。めまい、動悸、疲れやすいなど漢方で血虚にあたる症状を伴います。 また活血化オの漢方薬を単独に使うと、出血量が増え、一層血虚の症状を悪化させます。このような方はぜひ日ごろから血を補う婦宝当帰膠を多めに併用してください。月経中に血府逐オ丸を減量して、 その代わりに止血作用のある田七人参を増す。そうすると出血、痛みも楽になります。