更年期のおはなし|漢方のはなし

8.物忘れと更年期

日本人の平均寿命が延びる一方で、痴呆症の増加に対する関心が高まっています。事実患者さんから、最近物忘れが激しくて・・・・呆けの始まりかしら、と相談されることも多くなった。もちろんそう言っている うちはまだ大丈夫のようだが、漢方の未病を治すと言う考えから言うと、早急の対策が必要だ。漢方では、記憶力などの大脳の働きは『腎精』によって維持されていると考えられています。

この腎精は一定の年齢を境にして、衰えに傾いていきます。そうなれば、記憶力を始めとするさまざまな脳の働きが低下し乱れて物忘れが酷くなり、ひいては痴呆症になる恐れも出てきます。 その一定の年齢と言うのは、女性では35歳からだが、顕著に現れてくるのは、49歳あたりからで、ちょうど更年期と一致する。即ち物忘れが気になるようになったら、脳の衰えもホルモンの低下も概に進行していることになります。

そこで気になる対策だが、腎精を補う事(補腎益精)に心がけてみましょう。胡桃、黒胡麻、黒豆、黒木耳、山薬などを 進んで摂るよう食生活を見直した上で、補腎作用の漢方薬を活用することをお勧めします。ほてりやのぼせ、汗かきの方は六味地黄丸、杞菊地黄丸、八仙長寿丸、瀉火補腎丸などが良いし、寒がりの方は双料参茸丸、 参茸補血丸、海馬補腎丸等が使いやすい。中国では親孝行のプレゼントに良く用いられます。さあ、ためらわず早速の対応策をしてください!

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