更年期のおはなし|漢方のはなし

19.不定愁訴

何となく体調がすぐれず、日によって症状が変わり、検査しても特に器質的な異常がみつからないということが更年期にはよくあります。更年期に目立つ症状として、疲れ、だるさ、めまい、動悸、息切れなどの症状があり、とくに春や季節の変わり目にその症状が出やすいのです。西洋医学では自立神経失調や神経症、仮面うつ病と関係していると認識していますが、さまざまな訴えが多く、症状もよく変わることから、不定愁訴という名称にりました。器質的な病変はなく、命に関わることがないため、あまり重要視されていないようですが、本人つらさや焦りを計り知れないものがあります。このような時こそ漢方薬の出番です。

中国漢方では、不定愁訴の一つひとつ症状を追いかけ、 対症治療をすることではなく、その根本となる体と心のアンバランスを整え、自律神経の働きをよくして、体の適応性を高めます。疎肝理気(そかんりき)作用という気の流れを良くする星火逍遥丸(せいかしょうようがん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)、抑肝散(よくかんさん)などは大変効果的であり、日ごろの食養生として、香りの高い野菜や薬味を積極的に取り入れ、シベリア人参茶をハーブティーとしておすすめします。

不定愁訴になりやすい体質の神経質、神経症的な気質を改善するために、養心安神作用を持つ帰脾錠(きひじょう)、加味帰脾湯(かみきひとう)、天王補心丹(てんのうほしんたん)、麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)なども良く使われます。なつめ、百合、小麦、竜眼肉(りょうがんの果実)などを薬膳のつもりで食後のお茶に取り入れるのも効果的です。

根本から体質改善を図るために、少々時間を要しますが、つらい症状がどこに消えたのかと実感する日が必ず来ます。

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