更年期のおはなし|漢方のはなし

4.不眠とストレス過労

前回述べた不眠は思い悩む、脳を使いすぎる、年齢が重なることによる「血虚」、「陰虚」不眠で、女性によくみられる不眠のひとつのタイプでした。

この2つ以外に「気鬱化火」不眠があります。ストレスの多い方になりやすく、寝つきが悪くなかなか眠れない、眠れないことに腹立ったり、イライラしたり、頭がさえて、まったく眠気がなくなってしまうこともあります。やがて不眠自体はストレスになることもあります。他に怒りやすい、便秘しやすいという症状もよく見られます。

漢方薬ではストレスを柔らげ、心を鎮める瀉火利湿顆粒、星火温胆湯、柴胡加竜骨牡蠣湯がよく効くききます。特に便秘が目立つときに大黄入りの柴胡加竜骨牡蠣湯、 舌の苔が厚くベトベトした黄色の場合には温胆湯が良いでしょう。真珠粉(真珠の粉)や真珠母(真珠貝の殻)を少々加えれば、なおさら効きめが良くなります。

養生としては、抗ストレスに役立つ薄荷(ミント)、橘皮(ミカンの皮)、牡蠣(オイスター)や、あわびも利用すると良いでしょう。さらに単なる心のストレスだけでなく肉体的な疲労を伴うこと(例えば、残業の連続、毎日時間に追われて休みが取れない、長時間睡眠不足など)があれば、薬用人参と同じく疲労回復しながらも抗ストレス作用の優れたシベリア人参(刺五加人参)と一緒に服用すると効果が驚くほど早く現れることをしばしば経験しています。 シベリア人参に似た作用を持つ抑肝散(よくかんさん)という漢方薬もあります。

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