不妊症のおはなし|漢方のはなし
9.不妊と精子欠乏症
最近の男子大学生の精子が半減したとかオスのカエルが雌化したとか、そういうニュースを聞くたびにギョッとさせられます。確かに20年前に比べると男性の精子の数が2/3になったという調査報告もあるほどです。
実際、日ごろの不妊問題の相談で男性に原因がある場合、精子の数が足りない(精液検査で4000万/ml以下)、運動率(元気に動いている精子の場合)が50%以下というのが大半です。
自然妊娠が期待できない場合、人工授精や体外受精を安易に考えがちだが、それは女性の体に負担をかけるたけでなく、精子が思うように作れない、元気な精子が少ないという、男性側の衰えも問題になります。
逆に、検査では精子の数や運動率が正常値をキープしていても、日頃から疲れやすいとか、性欲がないとかの症状が続くと、やがてそれは男性側の不妊予備軍となる恐れがあります。その日の体調に大きく左右 される精液検査の結果で判断するよりは、ひたすら体を丈夫にして生殖機能を高めるようにしたほうが得策です。 補中益気丸という漢方薬は精子の数を増やし運動率を良くすると以前マスコミで大々的に報じられたことがあるが、これは第一段階に使うものです。中国漢方では本格的に治療行う場合、 補腎薬と呼ばれる強壮強精作用をもつ海馬補腎丸・至宝三鞭丸という漢方薬を使います。これらは、中国漢方の男性ホルモンと言われる同類相補に基づく動物の生殖器(鹿鞭ろくべん)が成分として多く配合されています。