不妊症のおはなし|漢方のはなし
24.痰湿と不妊
私はよく不妊の患者さんから不妊治療のついでにダイエットもしたいと懇願されます。よく聞いてみると、元来豊満の方もおれば、不妊治療のためのホルモン療法で肥ったまま元に戻れない方もいる。 ダイエットは別として、肥っている方は痰湿(水分代謝や脂質代謝が乱れていることを指す)を持つ可能性が高い『痰湿肥満』 ! ! この痰湿は女性ホルモンに悪影響を与え、長引くと嚢胞やシコリ、 肥厚などの病変を引き起こすと考えられています。西洋医学でいう多嚢胞卵巣症候群(PCOS)は、中国漢方の痰飲による月経不順・不妊に相当する。BBT(基礎体温)も単層性で、多毛・ニキビもよく見かけます。
西洋医学的にはホルモン療法を用いるが、満足できるような効果はまだ得られていません。
中国漢方では痰湿を取り除くために、一般的には「蒼附導痰丸」が最もよく使われる(日本にはないため二陳湯と晶三仙で代用する)。もし舌苔が黄色でベトベトしていたり、赤いニキビが多い場合、 星火温胆湯や瀉火利湿顆粒を使います。 このような痰湿を取り除く漢方薬を服用すると同時に、必ず補腎薬も併用しなければならない。特に腎陽虚は最も多く見られるので、金匱腎気丸や牛車腎気丸がよく使われます。
必要に応じて活血薬や疏肝理気薬(逍遥丸)も必要になるかもしれません。実際、痩せる前に妊娠するケースもとても多いのです。