認知症(痴呆症) | お身体の悩み
漢方医学
初期または中期の認知症(痴呆症)であれば、症状に適した漢方薬を服用することで、精神症状や異常行動などを改善することが可能です。
脳血管障害型の認知症(痴呆症)の場合は、高血圧や動脈硬化などから発生する血栓を予防するような処方を用います。
漢方では「駆お血薬」と呼ばれている処方で、血をサラサラにして血流をよくすることで、認知症(痴呆症)の進行を遅らせたり予防することができます。
認知症に用いる漢方処方としては、「補腎薬」といって腎機能を補い老化を予防する漢方と、血をサラサラにして血行をよくする漢方の二つを組み合わせることを基本に考えます。
「駆お血薬」で脳の血流を改善して、「補腎薬」で脳の老化を予防します。そうすることで、認知症(痴呆症)の進行を遅らせることができます。
漢方でも、認知症(痴呆症)を根本的に治療することは難しいのですが、初期あるいは中期の認知症(痴呆症)であれば、イライラ、神経の高ぶり、錯乱、徘徊などの症状をある程度改善することができます。
完全なアルツハイマー型の認知症には、漢方薬にもよい薬はありません。
ただし、その方の症状や体質によって用いる処方も違うので、漢方を服用する場合は自己判断せずに、漢方の専門知識のある医師や薬剤師に相談することをお勧めします。
※漢方を服用する場合は、自己判断せずに、漢方の専門知識のある医師、薬剤師に相談しましょう。
西洋医学
認知症(痴呆症)は、高齢化が進んでいる日本では深刻な社会問題として考えられています。
認知症(痴呆症)は、脳の神経細胞が広い範囲で死滅することで発症します。
老化による物忘れとは違います。一般的な物忘れは、日常生活の一部を忘れるだけで、後で
思い出すこともありますが、認知症(痴呆症)は日常生活全体を忘れてしまいます。
例えば食事の時間、子どもの顔、自分の年齢、今日の日時や昼と夜の区別もつかなくなります。
また、うつ状態、被害妄想、神経過敏、暴言、意欲低下などの症状が伴うようにもなります。
認知症(痴呆症)は、主に脳血管障害が原因となっているものと、アルツハイマー病によるものがあります。
脳血管障害は、脳梗塞や脳出血などで神経細胞が脱落して起きます。一方、アルツハイマー病は脳が委縮する病気で、最初は物忘れなどの症状に始まり、徘徊、失禁をするようになり、末期になると寝たきりの状態が続くようになります。
今のところ、認知症(痴呆症)は西洋医学でも根本的な治療法はなく、症状に対応した治療で進行を遅らせるような方法がとられています。
日常生活
日常生活についてですが、脳血管型の認知症(痴呆症)は高血圧や動脈硬化、高脂血症などの生活習慣病にならないよう心がけることが大切です。
普段から、栄養バランスのとれた規則正しい食生活を心がけてください。太りすぎに注意して、軽い運動などでストレスをためないようにしましょう。
アルツハイマー型の認知症(痴呆症)は、まだ不明な点が多いのですが、消極的で閉鎖的な性格の方に多く見られる傾向があります。このような方は、積極的に社会と接するよう心がけることも大切です。
また、認知症の方でも「人として必要とされる」ことに喜びを感じます。簡単なことは手伝ってもらいましょう。
※医師・薬剤師に、ご相談の上服用してください。
認知症(痴呆症)の漢方の実例
徘徊などの認知症(痴呆症)の症例
女性 86歳 認知症(痴呆症)
この方は、はじめにご家族の方から相談を受けました。
数年前から物忘れがひどくなり落ち込んだり、精神的に不安定になることが多くなったとのことでした。
病院の診断では、認知症(痴呆症)とのことです。通院しても、あまり症状は改善しないとのことです。
夜中におきだして騒いだり、おかしな言動や行動が見られます。最近では、深夜、家族が知らないうちに近所を徘徊して保護されたこともあり、認知症(痴呆症)の症状がひどくなってきているとのことでした。
小柄で中肉の方です。動脈硬化があり、血圧が不安定で胃が弱いとのことでした。
この方は、動脈硬化や高血圧があることから、血行を促し動脈硬化や高血圧と共に、認知症(痴呆症)の症状を改善する漢方薬を処方しました。
はじめて一ヶ月は全く変化がみられませんでした。
2か月目の服用が終わることから、精神的に落ち着いて認知症(痴呆症)の症状が改善されてきました。血圧も以前より安定しています。
その後も同じ処方を継続していただきました。
服用を始めて4か月後には、以前のように徘徊することもなくなり、全体的に認知症(痴呆症)の症状が落ち着いてきているとのことです。
うつ状態からくる認知症(痴呆症)の症例
男性 64歳 認知症(痴呆症)
ややガッチリした体格の男性です。2年前に奥さんに先立たれてから、物事に対してやる気が起きなくなり、しだいに無口になって落ち込むことが多くなりました。
ご家族の名前や時間なども間違えることがあります。ご家族と一緒に病院へ行ったところ、認知症(痴呆症)の初期と診断されました。
一人で暮らしていたのですが、これを機会にご家族と同居を始めました。ところが、落ち込んだり、家族に暴言を吐いたりして、少しずつ認知症(痴呆症)の症状が進んでいるようです。
そこで、漢方薬も試してみたいとのことから、来店されました。
以前に比べて、感情の起伏が激しくなり、些細なことで怒ります。また、食事をしたことを忘れたり、夜中におきだして家の中をウロウロと歩き回ることがあるとのことでした。
この方には、精神を安定させて認知症(痴呆症)を改善する漢方薬を処分しました。
一ヶ月の服用で、本人の行動に落ち着きが見られるようになったとのことでした。
その後も同じ処方を継続して、怒ったり歩き回るような症状に少しずつ改善が見られるようになって来ました。
現在も漢方薬を服用中です。
環境の変化による認知症(痴呆症)の症例
女性 83歳 認知症(痴呆症)
独り暮らしの女性です。
近所で転んでから起き上がることができなくなってしまいました。
介護施設に入所したのですが、そのころから夜になると眠れなくなり、興奮するようになりました。
家族が見舞いに行くと、帰ると言って興奮して、手がつけられません。軽い認知症(痴呆症)の症状も見られるようになりました。
困った家族の方が、当店へ相談にみえました。認知症(痴呆症)の症状がひどくなると、今の介護施設に居られなくなるので何とかして欲しいとのことでした。
この方は、興奮しやすかったので、精神を安定させ、認知症(痴呆症)を改善する漢方薬を処方しました。
数日後には、家族の方から、おとなしくなったとの連絡を受けました。
次回の来店では、夜は眠れるようになり、興奮することも少なくなったとのことです。現在も、漢方薬の服用を継続しています。