下痢 | お身体の悩み
漢方医学
漢方では、下痢は主に冷えによる水毒と考えています。腰や腹部が冷えることで、過剰な水分が胃腸にたまり、腹痛、下痢、お腹が張る、お腹にガスがたまりやすいなどの症状があらわれます。これらは、身体を冷やすと悪化し、温めると改善します。
よく明け方に腹痛を伴った下痢をする方がいます。一日で一番気温の低い時に冷えが引き金となっておきます。治療としては、胃腸を温め、余分な水分を体外に排出する漢方薬を用います。
最近ではストレス(漢方では「気」の停滞といっています)で下痢をする方が増えています。ストレスによって、腸管の動きが悪くなることで下痢になります。漢方では、「気」の流れをよくしてストレスを和らげる処方を用います。
また、暴飲暴食による下痢もあります。消化を助け胃腸の働きを整える漢方薬を用います。
ノロウィルスのような細菌性の下痢は、炎症(熱を伴う)によるものです。このようなときには、熱を冷まし炎症を抑える漢方薬を用います。
下痢はさまざまな原因によっておこるので、自己判断せずに漢方知識のある専門薬局や医師にご相談ください。
※漢方を服用する場合は、自己判断せずに、漢方の専門知識のある医師、薬剤師に相談しましょう。
西洋医学
下痢は、消化不良、食べ過ぎ飲み過ぎ、細菌感染などで腸の粘膜が炎症を起こしたり、腸粘膜からの水分吸収が悪くなることで起きます。また、体質的なもの、ストレスなどで起きることもあります。
下痢の治療としては、腸の蠕動運動を抑制したり、腸粘膜を保護したり、腸内細菌のバランスを整えたりします。細菌感染の下痢が?みられるときには、抗菌剤などで治療をします。
下痢が激しいときは、脱水症状を起こすので水分を補給する必要があります。冷たいジュースや牛乳は下痢の原因になるので注意しましょう。
日常生活
下痢をしやすい方は、ジュース、ビール、刺身、生野菜、果物などの冷たい飲食物は避け、なるべく火をとおしたものを食べるようにしましょう。
ミニスカートなどの薄着を避け、お腹や腰を温めるようにしましょう。
暴飲暴食をさけ、よく噛んで食べるように心がけてください。
※医師・薬剤師に、ご相談の上服用してください。
下痢の漢方の実例
冷え性体質の下痢の症例
33歳 男性 下痢
原因はわからないのですが、下痢が一ヶ月以上続いています。
病院で検査をしても、異常はないとのことでした。
整腸剤などを処方されましたが、服用しても良くなりません。
下痢は一日4、5回ありますが、腹痛はないそうです。
体形は中肉の方ですが、この一ヶ月で体重が2kgほど減ったそうです。
下痢をしているため、食事にも気を使わないといけません。
早く、良くなって好きなものを食べたいとのことでした。
症状をお聞きすると、最近、身体がとても冷えているそうです。
そこで、胃腸を中心に身体を温めて、下痢を改善できるような漢方薬をお出ししました。
10日後に来店された時には、便通は一日一回で下痢もしなくなったそうです。
しかし、長いこと下痢が続いたので、体力が落ちて疲れやすいとのことでした。
そこで、体力を補い疲労を回復できるような漢方薬をお出ししました。
半月後には、体調も回復してすっかり元気になったとのことです。
ストレス性の下痢が、良くなりました
大学を卒業して、新入社員として働き始めた方です。
職場の人間関係や雰囲気になじめずに、苦労しているとのことです。
もともと胃腸は丈夫だったそうですが、一ヶ月くらい前から下痢をするようになりました。
下痢は日ごとにひどくなって、最近は毎日4,5回トイレへ行きます。
腹痛はほとんどないのですが、仕事中に行きたくなるので、とても困っているとのことでした。
病院へ行っても、特に異常はないと言われました。
何種類か薬を処方されましたが、効果はなかったそうです。
症状をお聞きした上で、ストレスを和らげて下痢が改善できるような漢方薬を、15日分お出ししました。
15日後に来店された時には、下痢はしなくなったとのことです。
職場にも徐々になじめるようになり、今後も何とかやっていけそうだとのことでした。