冷え性 | お身体の悩み
漢方医学
漢方では、冷え性はいくつかのタイプに分けることができます。ここにタイプ別に整理してみましょう。
1:“水”による冷え性
余分な水が胃腸にたまり、胃腸の機能を低下させて冷え性の原因になります。腹部でポチャポチャと水の音が聞こえたりします。また、身体がむくみやすい方も余分な水分が原因となって冷え症となります。
漢方治療としては、胃腸の中の余分な水分や身体の余分な水分を身体の外に尿や汗として排出させ、胃腸の機能を回復させる処方を用います。
2:“血”による冷え性
お血(ドロドロとしたきたない血)によって「血」の流れが停滞して冷えます。比較的体力があって便秘がちの女性にこのタイプは多いようです。のぼせや動悸を伴うこともあります。また血が不足して血流が悪くなり冷えます。虚弱タイプの方に多く見られます。
漢方治療としては、「血」をきれいにして血流をスムーズにしたり血を補う処方を用います。
3:“気”による冷え性
「気」がうまく巡らずに自律神経が不安定になり、下半身の冷えと上半身ののぼせ、いわゆる冷えのぼせや、イライラや精神不安などの症状が同時に起こります。
漢方治療としては、「気」巡りをよくしてイライラ感、冷えのぼせの症状を改善します。
4:その他の冷え性
全身の新陳代謝が低下して起こる冷え性もよく見られます。日頃から顔色が青白い人や高齢者にこのタイプは多いようです。
漢方治療としては、身体全体の体力が低下しているので「気」「血」を同時に補ったり、元気をつける処方を用います。
これらのタイプ別に冷えを分類し、体質にあった漢方治療を行います。
※漢方を服用する場合は、自己判断せずに、漢方の専門知識のある医師、薬剤師に相談しましょう。
西洋医学
西洋医学では冷え性という病気はありません。病気というよりはむしろ体質と考えたほうがいいでしょう。冷え性の症状としては、身体全体が冷える、手足が冷える、腰や腰から下が冷える、冷えと同時に首から上がのぼせる、しもやけができやすいなどがみられます。
冷え性は病気ではないので、西洋医学でも十分な対応はなかなかできていないようです。冷え性は漢方治療が得意とする分野のひとつです。
日常生活
冷え性は漢方の得意分野で、タイプに応じてさまざまな処方がありますが、同じくらい大事なのが食生活です。食べ物にはそれぞれに身体を温めるもの冷やすもの、どちらでもないものがあります。
冷え性の人にとっては身体を冷やすような食べ物は、なるべく避けたほうが良いでしょう。また、料理の仕方によっても違います。生野菜は避け、温野菜(炒めもの、煮たもの、焼いたもの、蒸したもの)を摂るようにしましょう。また適度な運動をして、血流をよくすることも大切です。
※医師・薬剤師に、ご相談の上服用してください。
冷え性の漢方の実例
胃腸虚弱の方の冷え性の症例
女性 33歳 不妊症
痩せ型で少し血色の悪い女性です。もともと冷え性だったのですが、最近になって体温も低く、足の冷えがかなりひどくなってきたとのことで来店されました。
血圧が低く生理痛があり、むくみやすい体質です。胃が弱く空腹時に痛んだり、食後にもたれたりします。
また、数ヶ月前からニキビができるようになり、最近ではかなり目立つようになって困っているとのことです。
この方は、胃腸に過剰な水分がたまり胃腸の機能が衰えたことで冷え性になったと考えられます。そこで、胃腸に溜まった過剰な水分を体外に排出して胃腸の機能を回復し、冷え性を改善する漢方薬を処方しました。
一ヶ月分を服用した後で症状を伺うと、以前より身体が温まってきたとのことでした。生理痛も以前より軽くなり、胃腸や胃もたれがほとんどなくなったとのことでした。ニキビも以前よりかなりよくなっています。
その後も同じ処方を継続していただき、症状は改善しました。
自律神経失調症の冷え性の症例
男性 33歳 冷え性、自律神経失調症
2~3年前からひどい冷え性とのことで相談を受けました。
しばらくは病院へ通って漢方治療を処方されていたとのことですが、ほとんど効果はなかったそうです。
肥満型で疲れやすく偏頭痛があり、肩こりもひどいとのことです。また、イライラしたり落ち込んだり、精神的に不安定になることがあります。
この方は、自律神経のバランスが悪いことが原因で冷え性になっていると考えられます。そこで、自律神経のバランスを調えて冷え性を改善する漢方薬を処方しました。
30日分の服用後に来店していただきましたが、ほとんど症状に変化が見られないとのことでした。そこで、自律神経のバランスを調えるとともに、血の巡りをよくする漢方薬を加えて処方しました。
今度は一ヶ月の服用で身体が温まってきて、イライラや不安感などの症状もだいぶ落ち着いてきたとのことです。
その後も同じ処方を継続していただき、頭痛や肩こりなどの症状も改善しました。
肥満症の方の冷え性の症例
女性 36歳 冷え性
やや肥満型で元気のよさそうな印象の女性です。もう長いこと冷え症で悩んでいるとのことで来店されました。下半身は冷えてのぼせやすい、いわゆる冷えのぼせがあります。
生理は順調ですが、生理痛が強く普段から便秘症です。肩こりが強く偏頭痛もあります。
この方は血の流れが停滞していると考え、血をサラサラにして血流をスムーズにする漢方薬を処方しました。
また、和菓子や甘いものが好きとのことだったので、こうした甘味類を控えることと毎日軽い運動をするようにすすめました。
徐々にですが症状は確実に改善し、4~5か月で冷えのぼせの症状が改善しました。その後も同じ処方を継続し、生理痛もほとんどなくなり、便秘や肩こりなどもよくなっています。
頻発月経が漢方のおかげで正常な周期になりました
女性 39歳 冷え症・生理不順
生理周期が14日~21日と短く、体温も35度台で低体温で、冷え症もあり、毎年できるシモヤケに悩んでいるとのことでした
知人から、冷え症や生理異常には漢方がよいと勧められ相談に来られました。
漢方を服用し始めて一ヶ月で、手足が温まってきたことが実感できるようになりました。体温も36度を超える日が増えています。でも、生理周期は21日です。
2ヶ月後には生理が30日で来るようになりました。基礎体温は低温期でも36度台を保っています。
その後は冷え症も改善し、半年後には生理も25日~30日で来るようになりました。
貧血、冷え症だった方が、漢方で改善しました
女性 冷え症
事務職のOLです。同じオフィスには暑がりの人が多く、夏場はクーラーで冷され、冬場は暖房をあまり使わせてもらえないとのことでした。そのせいだけではないのでしょうが、夏でも手足が温まらず、靴下をはかないと寝られないとのことです。
もともと貧血で疲れやすく、めまいや立ちくらみで悩まされています。仕事中でも、クーラーで冷えた室内にいると、めまいや腹痛に悩まされます。生理も不定期です。
漢方薬を服用して3ヶ月後に症状を聞くと、今回の生理痛は今までにないくらい楽だったとのことでした。
手足の冷えも以前のようにつらくはなくなったとの事です。めまいや立ちくらみも、大分改善されました。
冷え症で胃腸が弱く下痢をしやすかったのですが、漢方薬を服用して改善
女性 27歳 下痢 冷え症
以前から冷え性で下痢をしやすく、胃腸が弱くて悩んでいるとのことでした。天ぷらなどの揚げ物を食べると、胃がもたれたり、胸やけがします。また、朝起きると口臭がひどく胃のむかつきもあります。今までいろいろな治療を受けましたが、よくなりません。漢方薬は、今まで服用したことがないので試してみたいとのことでした。
漢方薬を服用して15日で冷え性が改善してきたとのことでした。その後も、同じ服用を継続していただき、一ヶ月後には下痢や胃もたれ、むかつきなどの症状がとれてきました。二ヶ月の服用が終わるころには、朝の口臭や胃のむかつきも改善しているとのことです。現在も漢方薬の服用は継続していますが、大変調子が良いとのことです。
この方は根本的に身体が冷えていたので、身体を温めながら胃腸の働きを調える漢方薬をお渡ししました。こうした根本からの体質改善は、漢方薬を用いる利点の一つです。
冷え症、生理痛、肌荒れが、漢方薬を服用して改善
女性 32歳 冷え症 生理痛 肌荒れ
長いこと冷え症やひどい生理痛で悩んでいます。また、生理前には肌荒れがひどくなり、顔全体がむくんでしまうとのことでした。生理周期も長く、安定していません。
漢方薬を服用して40日後に来店されて時には、身体が温まって体調がよくなってきたとのことでした。生理痛も楽になっています。2ヶ月後には、生理前の肌荒れ、むくみなどの症状が改善してきたとのことです。 その後も同じ漢方薬を継続していますが、体調はひじょうによくなっているとのことです。
冷え症は漢方の得意分野といえます。一人ひとりの体質に合わせて様々な漢方があるので、お悩みの方は漢方の専門知識のある、医師や薬剤師に相談することをお勧めします。
冷え性と生理痛がつらくて漢方薬を服用しましたが、症状が改善して妊娠
女性 33歳 生理痛 冷え性
若い頃から、冷え性と生理痛で悩んでいました。
知人から冷え性や生理痛に良い漢方薬があると聞いて来店されました。
一年前に結婚したとのことです。
漢方薬を服用して三ヶ月、冷え性や生理痛の改善とともに妊娠したとのことでした。
現在は、妊娠中でも安心して服用できる漢方薬に切り替えて、体調を調えています。
予想外の妊娠でしたが、とてもうれしいとのことでした。
冷え性や生理異常などは基本的にホルモンバランスを調える漢方薬を用いることが多いのですが、結果的に妊娠しやすい身体づくりへとつながります。
冷え性でイライラしていましたが、ご夫婦で漢方薬を服用したら改善して妊娠
女性 32歳 冷え性
ご主人は30歳、奥様は32歳です。
結婚して2年になりますが、まだ妊娠したことはありません。
ご夫婦は、できれば自然妊娠で赤ちゃんを授かりたいとのことです。
不妊治療の検査も受けたことはないそうです。
ご主人は、最近疲れやすく精力減退気味です。
奥様は、生理周期が28日で生理痛などもなく順調ですが、冷え性で生理前になるとイライラして怒りっぽくなります。
また、基礎体温が全体的に凸凹して不安定です。
できれば、ご夫婦で一緒に漢方薬をした方が良いですよと、説明させていただきました。
その結果、お二人でそれぞれの体質に合った漢方薬を服用していただきました。
服用を始めてから、ご主人は疲れにくくなり精力も回復してきたそうです。
奥様も身体が温まり、生理前のイライラが落ち着いてきました。
また、基礎体温もきれいな二相になり安定しています。
6ヵ月後に妊娠、その後元気な男の子を授かりました。
元気な男の子を授かり、良かったですね。
おめでとうございます。
ご夫婦で一緒に漢方薬を服用したことで、精神的にもともに支えあって過ごすことができたようですね。
お幸せになって下さい。